一人の女性、もしくは天使が左右の手それぞれに杯を持ち、片方からもう片方へと液体を注いでいる図が特徴です。これは四枢要徳(よんすうようとく)(西洋で道徳の基本とされる正義・力・節制・賢明の四つ)のうちの「節制」を表すもので、とりわけ「禁酒」を意味しました。盃の間に流れている水はぶどう酒とも言われていて、それを水で薄めている様子を描くことによって、「節制」という抽象的な概念を擬人化したものです。
<このカードを引いたときの意味>
このカードは、文字通り「節制」していることを示します。極端なことを避け、無理のない範囲で自分の生活を律している状態です。欲に走らず、自分の分にあった生活をしていることや、穏やかで優しい気持ちでいることを示します。
さらには二つの杯の間を流れる水でイメージされるように、新しい価値観や他人の考えを無理なく受け入れることができるでしょう。図柄の2つの杯の間を渡る水のように気持ちが交流し始め、相手の心の動きに反応できるようになり、コミュニケーションが活発化します。
当館にはタロットカードの中でも貴重な「ニコラ・コンヴェル版」というデッキがあるのですが、その中でもこの「節制」は描かれた女性の顔に欠損がなく完全に残っているというのは他に例がないそうです。(そのため、2017年にフランスで新たに制作された復刻デッキは、この節制札をモデルに復元されています)。
なので、カルタ館でこのカードを引いた場合、なにか特別な運命を意味するかも知れません。
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