この「吊られた男(つられたおとこ)」は、タロットを歌ったルネサンス期の詩では「反逆者」と呼ばれています。
初期のタロットの中には手に袋を持った姿のものがあり、中にはお金が入っているとの連想を呼んで、お金のためにイエスを裏切ったユダを描いたものだという説もあります。その一方で現在タロットカードの主流にあるウェイト=スミス版の解釈には、世俗的な価値観を逆転させ「他者の生き方を完全に受容する」自己犠牲的な精神を示す、というものもあります。だからなのか、ウェイト=スミス版の吊られた男は、逆さ吊りの苦しい状態にも関わらず、ほほえみを浮かべ、頭からは後光が指している絵柄となっています。(当館のおみくじカルタの「吊られた男」はマルセイユ版を参考にしているので、この図には当てはまりませんが、マルセイユ版もそこまで苦しそうな顔はしていないように感じられます。)
<このカードを引いたときの意味>
このカードは、宙ぶらりんの状態を暗示します。そこから脱するには、一旦状況をリセットして、自分の夢や目標を考え直したり、自分がどのような道を歩もうとしているのかを見つめ直したりするとよいでしょう。がむしゃらに進もうとするのではなく、自分の考えや思い、置かれている状況などをニュートラルな視点から見つめてみることが必要です。
このカードには「自己犠牲」という意味もありますが、より大きな目的を達成するために小さな野心を捨てるべきだ、というメッセージかもしれません。
おみくじでは「凶」に該当するかも知れませんが、タロットには「正位置」「逆位置」という考え方があり、タロットカードを引いたときの向きが逆さまの場合、そのカードの意味が反対のものになるのです。そう考えると、逆さまで苦労している→元から逆さまのこの図柄は苦労が報われるなどといった捉え方もされるようです。
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