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タロットおみくじ解説⑤-ⅩⅦ 星-

現在のタロットではこの「星」の構図は「川に水を注ぎ込んでいる裸の女性の頭上に大きな星が輝く」というものが主流ですが、この構図の出所は不詳です。マルセイユ版とウェイト=スミス版でもこの構図は共通している事が多いようです。
しかし大昔の初期のタロットでは、全く異なるデザインがさまざまなパターンで存在していました。例えばイタリアのフィレンツェで作られた、ミンキアーテ版と呼ばれるものでは、東方の三博士(「ベツレヘムの星」を見てキリストの誕生を予知し礼拝にやってきた賢人たち)の一人とおぼしき人物が星の下に描かれています。

<このカードを引いたときの意味>
このカードは希望や理想、純粋な願いを象徴するものであり、新しい夢や目的などが生まれることを暗示します。先が見えない不安な状況に、一条の光が指すという予兆かもしれません。
「星」という理想に向かって進んでいく純粋な向上心やロマンチックな感受性、あるいは、ほかの価値観とも折り合っていけるような受容性を意味するものでもあります。
川に水を惜しげもなく注ぎ込む様子から、無償の愛を暗示することもあります。
今回のタロットおみくじの中では幸運が舞い降りてくるという意味で「大吉」といえるかもしれません。

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愚者

魔術師

吊られた男

節制

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タロットおみくじ解説④-ⅩⅣ 節制-

一人の女性、もしくは天使が左右の手それぞれに杯を持ち、片方からもう片方へと液体を注いでいる図が特徴です。これは四枢要徳(よんすうようとく)(西洋で道徳の基本とされる正義・力・節制・賢明の四つ)のうちの「節制」を表すもので、とりわけ「禁酒」を意味しました。盃の間に流れている水はぶどう酒とも言われていて、それを水で薄めている様子を描くことによって、「節制」という抽象的な概念を擬人化したものです。

<このカードを引いたときの意味>
このカードは、文字通り「節制」していることを示します。極端なことを避け、無理のない範囲で自分の生活を律している状態です。欲に走らず、自分の分にあった生活をしていることや、穏やかで優しい気持ちでいることを示します。
さらには二つの杯の間を流れる水でイメージされるように、新しい価値観や他人の考えを無理なく受け入れることができるでしょう。図柄の2つの杯の間を渡る水のように気持ちが交流し始め、相手の心の動きに反応できるようになり、コミュニケーションが活発化します。

当館にはタロットカードの中でも貴重な「ニコラ・コンヴェル版」というデッキがあるのですが、その中でもこの「節制」は描かれた女性の顔に欠損がなく完全に残っているというのは他に例がないそうです。(そのため、2017年にフランスで新たに制作された復刻デッキは、この節制札をモデルに復元されています)。
なので、カルタ館でこのカードを引いた場合、なにか特別な運命を意味するかも知れません。

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吊られた男

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タロットおみくじ解説③-Ⅻ吊られた男-

この「吊られた男(つられたおとこ)」は、タロットを歌ったルネサンス期の詩では「反逆者」と呼ばれています。
初期のタロットの中には手に袋を持った姿のものがあり、中にはお金が入っているとの連想を呼んで、お金のためにイエスを裏切ったユダを描いたものだという説もあります。その一方で現在タロットカードの主流にあるウェイト=スミス版の解釈には、世俗的な価値観を逆転させ「他者の生き方を完全に受容する」自己犠牲的な精神を示す、というものもあります。だからなのか、ウェイト=スミス版の吊られた男は、逆さ吊りの苦しい状態にも関わらず、ほほえみを浮かべ、頭からは後光が指している絵柄となっています。(当館のおみくじカルタの「吊られた男」はマルセイユ版を参考にしているので、この図には当てはまりませんが、マルセイユ版もそこまで苦しそうな顔はしていないように感じられます。)

<このカードを引いたときの意味>
このカードは、宙ぶらりんの状態を暗示します。そこから脱するには、一旦状況をリセットして、自分の夢や目標を考え直したり、自分がどのような道を歩もうとしているのかを見つめ直したりするとよいでしょう。がむしゃらに進もうとするのではなく、自分の考えや思い、置かれている状況などをニュートラルな視点から見つめてみることが必要です。
このカードには「自己犠牲」という意味もありますが、より大きな目的を達成するために小さな野心を捨てるべきだ、というメッセージかもしれません。
おみくじでは「凶」に該当するかも知れませんが、タロットには「正位置」「逆位置」という考え方があり、タロットカードを引いたときの向きが逆さまの場合、そのカードの意味が反対のものになるのです。そう考えると、逆さまで苦労している→元から逆さまのこの図柄は苦労が報われるなどといった捉え方もされるようです。

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タロットおみくじ解説②-Ⅰ魔術師-

現代では「魔術師」とは魔法使いなどオカルト的・ファンタジー的な意味合いで呼ばれることが多いですが、古くは大道芸人として不思議の技を見せる「奇術師」であったそうです。
その他「職人」や「賭博師」が描かれたものなどもありますが、実はこれら全てには共通点があります。それは「その見事な技が熟練の技術と計算された作戦に裏打ちされている」ことです。実際、17世紀頃までは魔術と科学は一体のものでした。磨きに磨かれた技術は、傍目には「奇跡」や「魔術」のように見えますが、ドラえもんが使う未来の道具の「ひみつ道具」が魔法のように見えるように、それは最先端の「科学」にも当てはまります。

<このカードを引いたときの意味>
このカードは、「あなたがすでに現状の悩みや問題に対処するスキルを持っている」ことを示します。魔法使いが杖を振りかざす様子は、そのスキルをもって奇跡のような出来事を起こすという確固たる意志を象徴します。まずは「やる」という強い意志を持つことが大切です。魔法使いや手品師のように周囲に新鮮な驚きをもたらすような、斬新で創造的な行動を心がけましょう。
人物像としては、才気煥発で才能あふれた雄弁な人物を暗示します。努力家ともいえるでしょう。カードの番号が「1」であることから、初心に戻ることや、新しい物事の始まりを暗示することもあります。
おみくじで完全に当てはまるものはありませんが、現状を変える「意思」や「努力」が必要という意味では「吉」に当たるかも知れません。

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タロットおみくじ解説①-0愚者-

現在当館で開催中のタロットおみくじ(2023年)の補足を掲載していきます。
内容は2018年に当館で開催した、鏡リュウジ先生の著作「タロットの秘密」を参考に制作された大アルカナの解説に、今回のおみくじ向けに新たなカルタ館なりの解釈を加えたものになっています。

タロットカードには様々な種類があり、有名なものとして「マルセイユ版」「ウェイト=スミス版」などがあります。同じタロットカードでもその種類によって、それぞれの絵柄(アルカナ)の解釈は微妙に変わります。

 

-0愚者-


愚者は「愚か者」と言う意味に取られがちですが、現在メジャーなタロットのうちの一つ、ウェイト=スミス版(ライダー版ともいいます)などでは、ユング心理学における「永遠の少年」元型を想起させる美しい若者が描かれています。ウェイト=スミス版をデザインしたウェイトによれば、「愚者」とは「経験を求めるスピリット」であり、カードに与えられた「0(ゼロ)」という番号は経験の乏しさ故に純粋無垢であることを暗示するようです。日常の秩序をはみ出した存在ともいえます。

<このカードを引いたときの意味>
「愚者」とは「未だ何者にもなっていない者」という意味でもあり、そのためこのカードは「状況も気持ちも明確には定まっていない」ことを暗示します。そこに危うさと可能性があります。
一つの解釈としては、まさに「愚か」であることを意味します。物事に対して考えなしすぎて、いつの間にか困った状態になってはいませんか?もしかすると、今対面している事態は自分が思っている以上に深刻な事態なのかもしれません。
一方で、未だ何者でもない愚者のカードは無限の可能性や自由などを暗示することもあります。

物語をかき乱すキャラクターを称する「トリックスター」を意味することもあるので、おみくじで当てはまるものはありませんが、大吉でもあり、大凶でもあるかもしれません。

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